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合併症

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怖いのは合併症です

糖尿病の治療といえば血糖コントロールと言われますが、なぜ体はいま何の症状も無いのに、毎月通院し、食事や生活習慣を見直して血糖値をコントロールしなければならないのでしょうか?
それは、血糖値が高い状態が続くことによって起こる合併症を起こさない・進行させないためなのです。合併症の怖さは、知らないうちにどんどん進行してしまい、症状が出たときにはかなり進行しているということです。ある状態にまで進行してしまうと、その後、血糖コントロールをがんばっても取り返しがつかないことがあります。

糖尿病の様々な合併症は大きく分けて、血管の障害と神経の障害に分けられます。
様々な合併症の中で糖尿病に特有な3大合併症として神経障害・網膜症・腎症があります。

神経障害

末梢神経には運動神経・感覚神経・自律神経がありますが、糖尿病で障害が出るのは感覚神経と自律神経です。個人差は有りますが合併症の中でも1番先に出てくるといわれています。

感覚神経・・・痛み・温度などを感じる神経
自律神経・・・自分の意思とは関係なく生きることを調節してくれている神経(胃腸や心臓を動かす)

症状

  • 手足のしびれ
  • かさかさする
  • 足が冷える
  • こむら返り
  • 足の裏の違和感
  • 手足の痛み
  • 物が二重に見える
  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 尿が出にくい
  • 勃起不全

などなど・・・

※この症状に心当たりがあるからといってそれが必ず糖尿病性神経障害とはいえませんので、気になる方は先生に相談してください。

軽いしびれなどの神経障害で、HbA1cが8%程度ならば血糖コントロールを良好にすることで改善もありますが痛みが出現してくるとなかなか良くなりません。
内服薬もありますが、劇的に効くものはありません。
神経障害が出現・進行していると、しびれ→痛み→ついには神経が断絶し感覚がなくなります。

感覚がなくなるということは

熱さが判らない。

  • 追い炊きの熱いお風呂に足から入っても熱くなくて火傷。
  • 湯たんぽ・アンカ・ストーブで火傷しても熱くない。

痛さが判らない。

  • 靴ずれしても気がつかなくて、膿んでしまう。
  • 画鋲を踏んでも気がつかなくて、膿んでしまう。
  • 低血糖の症状が自覚できない。

突然意識を失う。
このようなことが起こってしまうと、傷にきがついたときにはばい菌が身体に回り足を切断しなければいけなくなったり、命にかかわることもあります。

予防

血糖コントロール! 基本は食事療法です。そして運動療法・薬物療法。

  • 自分の足をよく観察しましょう。
  • 低血糖に注意しましょう。
  • 切り傷やたこ、魚の目などは決して自分で処置しないようにしましょう。
  • 靴ずれ、低温火傷に注意しましょう。
  • 夏でも靴下ははくように心がけてください。
  • むれたら足を洗う。傷を作らないことが大切です。

網膜症

三大合併症の中でもっとも深刻です。それは、成人してからの失明の原因の第1位が糖尿病性網膜症だからです。そして、眼底出血によって視覚障害を起こした人は年間3000人にも及びます。

「網膜」はカメラでいうとフイルムです。そこから光や色が情報として脳に伝えられます。網膜には酸素や栄養を供給するための細い血管が集まっており、糖尿病になるとそのような細い血管が痛むので酸素や栄養がうまく供給されずに網膜症が起こります。

網膜症には大きく3つの段階があります。

  1. 単純網膜症
    細い血管にコブが出来たり小さなしみや出血が見られますが、自覚症状はほとんどありません。血糖コントロールを良好にすれば軽快や回復することもあります。
  2. 増殖前網膜症
    網膜の表面の血管がつまり、あちこちにしみが見られるようになります。酸素が行き届かなくなりますがまだ自覚症状はありません。出血していても、視野に掛からない所で起こしている場合は自分で気が付きません。
  3. 増殖網膜症
    詰まってしまった血管の変わりに酸素を補うための新生血管と呼ばれる、もろくて破れやすい血管が次々に出現し、軽い衝撃や血圧の上昇ですぐに出血を起こしてしまいます。網膜上での出血を眼底出血といいます。進行するにつれ視野障害などの症状が出てきますが、進行も早くすでに治療困難になっていることが少なくありません。

予防・治療

やはり大切なのは血糖コントロール! 食事療法。

たとえ、問題ないと言われても定期的な精密眼底検査を受け、眼科で「糖尿病眼手帳」を記入してもらいましょう。HbA1cが6%以下なら半年から一年に一回の受診でよいと思われます。
レーザーによる光凝固療法や硝子体手術という方法がありますが、適した時期を過ぎてると行うことが出来ず、またこの治療は直すのではなく、進行を食い止めるに過ぎません。
適切な時期に治療を受けることが大切です。

食事や運動療法は医師の指示を守りましょう。(焦りや不安からいきなり頑張る方がいますが、急激な血糖コントロールや激しい運動は網膜症を進行させてしまう場合があります。)

腎症

腎臓は血液をろ過して体内の老廃物(いらないもの)を尿として外へ出す働きをしています。腎臓の中には糸球体という、細い血管を集めて球にしたような濾過器があるのです。高血糖が続くと細い血管にダメージがくるので、その血管が硬くなって狭くなり充分にろ過できなくなり、身体に必要なものも外へ出てしまったり、出さなければいけないものが体内にたまったりします。

蛋白尿・アルブミン尿と言う言葉は聴いたことがありますか?たんぱく質は身体を作る材料です。アルブミンとは身体に必要なたんぱく質の一種です。腎臓のろ過する能力が弱まると、これらが漏れて出て行ってしまいます。尿にたんぱく質が漏れてしまうと、血液中のたんぱく質が不足し、体の中に水が貯まってむくみやすくなります。さらに進行すると、尿が出にくくなったり身体に老廃物がたまって尿毒症という症状を起こします。そして、透析療法を行わなければなりません。

腎症の経過

  1. 微量たんぱく尿期
    初めに現れる症状はたんぱく尿です。極めて早い時期では普通の尿検査では判らないほどわずかです。
  2. 間欠性たんぱく尿期
    普通の尿検査で引っかかるほどたんぱく尿が出る。尿に出るたんぱく質の量は多かったり少なかったりします。
  3. 持続性たんぱく尿期
    いつ調べてもたんぱく尿が出る状態。もはや、腎症はある程度進行していますが、自覚症状はありません。顕性腎症の時期とも言います。
  4. ネフローゼ期
    尿へのたんぱく質の排出が増え血液中のたんぱく質が少なくなり身体にむくみが出てきます。
  5. 腎不全期
    血液中に老廃物がたまり、気がつかないうちに腎不全になります。この老廃物(尿毒素)によって、尿毒症(食欲不振・吐き気・むくみ・血圧上昇・肺水腫 ・心不全・昏睡)を起こします。
  6. 透析期
    透析をご存知ですか?

腎臓の代わりに機械で血液をろ過して、再び体内に戻すというものですが、健康な人の身体では腎臓で自然に行われているこの働きも、機械でやるとなると大変です。一週間に3回、一回4時間ベットに寝たまま点滴をしているような状態です。しかも、一生続けなければなりません。保険でまかなわれている為金銭面での個人負担はありません。夜間透析などもありますが社会生活への影響は少なくありません。

透析を行っている患者さんは年々増加していて、新たに透析を始めなければならない原因の第一位は糖尿病性腎症です。透析をすれば長く生きられるのかと言うと・・・慢性腎不全で透析療法を行っている方の5年生存率が80% と言うのに対し、糖尿病性腎症では50%です。この違いは、糖尿病と言うものが全身疾患であり、透析に至るまでには他のところにも合併症が起こっている可能性があるからです。

予防

血糖コントロールの徹底!
腎症が進行すると、たんぱく制限・塩分制限・カリウムなど、食事制限が厳しくなります。

たんぱく制限食は尿へのたんぱく質が流れていってしまう量を減少させて、腎機能障害の進行を遅らせてくれます。過剰なたんぱく質の摂取は腎障害を悪化させるおそれがある。

血圧をしっかりコントロールしましょう。

※腎臓の血管を開いて血流を改善して腎臓を守るため。そのために、正常血圧でも薬を使うことがあります。

動脈硬化・・・大血管障害

動脈→心臓から全身へ血液を送る血管
静脈→心臓へ血液が帰る血管

動脈硬化とは、文字通り動脈が硬くなる状態をいい、これ自体が病気ではありません。動脈を新品のホースに例えてみてください。新品のホースも時間が経つと古くなり内側には水垢が付いてもろくなっていきます。人間の血管も同じで、余分に体に入ってきた糖分や脂分・コレステロールは血栓となり血管の内側にこびりついてきます。内側に血栓がたまるという事は、その分血液の通り道も狭くなり圧(血圧)もかかります。そしてその血栓は不安定にくっついているので、力が入った拍子に血管からはがれ、血流に乗って飛んで行き、血栓が通れないくらい狭い所に行き着いたとき詰まります。その先の血管には血液が回らなくなるのです。血液が行き届かないと言うことは酸素や栄養が組織に送られず、機能しなくなります。これが心臓で起こると狭心症や心筋梗塞。頭で起これば脳梗塞と言うことになります。

また、血栓がこびりつき、血液がそこを流れようと圧が高くなると血管はその圧に耐え血管が破れないようにと外側に強くなろうと厚くなり硬くなります。カチカチに硬くなった血管は血管自体がもろくなります。頭でこれが起こると脳出血となるのです。動脈硬化は血管の状態であっても、これが原因で起こる病気は命に関わる怖いものなのです。

要因

  1. 遺伝(家系に心筋梗塞などを起こした方がいる)
  2. 年齢
  3. 男性
  4. 高血圧
  5. 高脂血症
  6. 糖尿病 (境界型の頃から進むと言われている)
  7. ストレス
  8. 喫煙

自分ではどうしようもない要因もありますが、この要因が1つでもあると何もない人の2倍、動脈硬化が進みやすいと言われています。
3大合併症と同様に、基本は食事です。食べすぎ・塩分の摂り過ぎ・コレステロールの摂り過ぎに注意しましょう)適正体重を維持しましょう。禁煙はお金が貯まり、病院に来なくてもいい治療です。血圧を高くし、血液の粘稠度も高くなります。

当院では、動脈硬化測定(血管のしなやかさ・つまり具合・血管年齢などが判る)の検査も実施しています。お気軽にご相談ください。

今は、なんともないという方も5年10年先を見越して、苦痛のない健康的な生活を続けていきましょう。血糖値を良好にコントロールしていれば(目標は6.5%)、糖尿病でない人と変わりのない生活をずっと続けることが出来ます。長い人生、糖尿病と上手に付き合っていくのは自分ひとりでは大変なことです。

定期的な通院で、経過を自分でも注目しながら先生やスタッフと相談し合い、一緒に頑張って行きましょう。

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